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大井町の立ち飲み店『スタンド ロティ』。人間味のある店づくりで地元民の“交流の場”に

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『stand LOTI』オーナーの洪静恵さん(右)とシェフのガリンド・安藤学・マッテオさん(左)。洪さんは6月に男の子を出産したばかり。

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JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線の3路線が乗り入れる大井町駅から徒歩約2分。ジョージアワインと南米料理をはじめとした創作料理を、気軽な立ち飲みスタイルで楽しめるのが『stand LOTI (スタンド ロティ)』だ。オープンから約2年半が経ち、単なる“飲食をする場”という枠を超えて、様々な人たちが集まる“交流の場”としても連日賑わいをみせている。オーナーである洪静恵(ホン・チョンへ)さんに、女性ならではの視点や店づくり、さらに“立ち飲み店の魅力”について話を聞いた。

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立ち飲みスタイルに魅了され、目標が明確になった大阪での修業時代

『stand LOTI』は、同じく大井町にある『winestand SAMI(ワインスタンド・サミ)』の姉妹店として2022年12月にオープンした。オーナーの洪さんは韓国人の両親のもと、大阪で生まれ神戸で育ち、学生時代から飲食店の開業を夢見て様々な業態の店で研鑽を積んできた。現在では2店舗の立ち飲み店を運営している洪さんだが、実は「最初は立ち飲みスタイルは全く考えていなかった」と話す。

「大阪の飲食店で働いていた時に知り合ったメエさんという私の“師匠”が、難波に立ち飲み店『STANDmee(スタンド・メエ)』をオープンすることになり、その立ち上げから携わったのがきっかけです。立ち飲みって『今日は飲みに行こう』とか『店を予約しよう』みたいな気負いがなくて、お客さまの生活に溶け込んでいる感じがしました。初めて会ったお客さま同士でもカウンターを共有して、会話が生まれる。飲食店なのに、飲食店らしい使い方をするお客さまが少なくて。まるで銭湯にでも行くかのような気軽な感覚でお店に現れる(笑)。そんなスタイルにすっかり魅了されてしまったんです」

琥珀のような濃いオレンジ色をした「アンバーワイン」。これを目当てに来店するお客も多い(写真提供:stand LOTI)

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「立ち飲み、バイザグラス、デイリーワインは1杯1,000円以下」がこだわり

お店を開くなら自分は東京で、と考えていた洪さん。そこに住む人とそこで働く人の両方が共存する街を探していたところ、大井町に縁があり、2020年3月に1号店となる『winestand SAMI』をオープン。洪さんの明るく気さくな性格もあり、地元の人を中心に人気店となった。その後、4.8坪で営業していた『winestand SAMI』に入り切れないお客が増えてきたことや、さらにもう少し広いスペースで実現できることなどを考えた結果、駅から徒歩約2分という好立地に物件が見つかったタイミングで、姉妹店となる『stand LOTI』をオープンさせた。

フードメニューは日替わりで、洪さんが毎日手書きしている(写真提供:stand LOTI)

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『winestand SAMI』同様、『stand LOTI』でお客のお目当てもあり、主役となるのはジョージアワインだ。ワイン発祥の地とされ、世界最古のワインが造られた地としても知られるジョージアでは、ワインは人々の生活に密着した日常的な飲み物だった。しかし日本ではワインは比較的高価で、少し敷居が高いと感じていた洪さんは、「立ち飲みで、かしこまらずに気軽にワインが飲める店」にしたいと考えていた。

それを実現した『stand LOTI』では、ジョージアワインを1杯580円~ととてもリーズナブルに提供している。ソムリエの資格を持つ洪さんのこだわりは“1杯1,000円を切る価格帯でおいしいワインをセレクトする”こと。1,000円以下で楽しめるジョージアワインをメインにし、それ以上のものは“ご褒美ワイン”としてラインアップしている。さらにビールやハイボール、酎ハイ、ソフトドリンクなどもあり、同程度の価格だ。

カウンターは15人程度で満席に。右奥に階段があり、3階は10席ほどの椅子とテーブルがある。

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「立ち飲み、バイザグラス(グラス単位でワインが注文できる)、気軽に飲めるデイリーワインは1杯1,000円以下で揃える、この3つが自分の中のこだわりでした。私自身、お酒が好きで時にはワインもグビグビ飲みたいので、自分がお客だとしたら1杯1,000円以下なら財布を気にせずに飲めますね。きっと飲みすぎちゃうと思います」と洪さんは笑いながら話す。

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小坂知美

ライター: 小坂知美

学生時代からの食への探求心と食いしん坊が高じて、フードライターとして活動中。飲食業界でパティスリーやレストラン等の広報・PRに就いていたことから、取材を受ける飲食店側の立場も経験。作り手のこだわりと愛情が詰まった、美味しいものを食べているときが至福の時間。